企業が新卒の外国人留学生を採用したいケースの法律問題

ケース

私の会社では,海外ブランドを仕入れて,店舗で販売する事業を行っています。この度,神戸市内に新たに店舗(神戸支店)を開くことになりました。

どのようなブランド商品をどの地域から仕入れるかについては,各店舗の方針に任せていますので,各店舗には,海外ブランドメーカーとの交渉を行う専門の営業担当者を配置しています。

神戸支店の開設に当たって,語学力の高さを条件に新卒採用の求人を行ったところ,50名の応募がありましたが,そのうち10名は神戸市内の大学に通う外国人留学生でした。

できれば,外国人留学生も何名か採用したいと考えているのですが,これまで外国人を雇用したことがなく,どのようなことに気をつければよいのか分かりません。

みお神戸の弁護士の対応方法

みお神戸では,これまで外国人を雇用した経験のない企業様に向けて,「外国人雇用を安心して行うための法的サポート」をご提供しています。

外国人であっても,日本人であっても,労働基準法,労働契約法など,適用される労働法は同じですから,労務管理の方法が全く異なるというわけではありません。ただ,外国人雇用には,日本人の雇用とは異なる「3つの課題」があります。

第1の課題 「在留資格の問題」

在留資格とは,外国人が日本に居続けるために持っていなければならない資格のことです。外国人が在留資格を失ってしまえば,退去強制処分,いわゆる強制送還の対象になってしまいます。また,在留資格で認められていない仕事を雇用先が行わせれば,雇用先は,不法就労助長罪に問われてしまいます。外国人を雇用する場合は,採用前にも,採用後にも,在留資格に対する配慮をすることが必要です。

このケースであれば,「技術・人文知識・国際業務」の在留資格での採用が適切です。

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格においては,従事しようとする業務とこれまで専攻していた科目との関連性が求められます。

ですから,採用段階においては,成績証明書などの提出を求め,その外国人が大学で専攻していた科目(専攻科目)と,採用後に従事してもらいたい仕事との関連性をどのように説明することができるのか,きちんと検討しておく必要があります。

また,採用後に実際に業務に従事させる際にも,きちんと専攻科目と関連性のある業務をさせているか,逐一確認する必要があります。

特に,日本では慣行となっている新卒採用後のOJTには,気を付けなければなりません。日本では,総合職で採用した新卒者に,会社全体の仕事内容を理解させるために,短期間,専門とは異なった仕事を経験させることがしばしばあります。このような研修は,(認められるケースもありますが)在留資格で認められていない活動をさせていると評価されるおそれがありますので,十分に留意が必要です。

また,配置転換によって業務内容が変わる際にも,配置転換後に予定している業務でも在留資格上問題はないのか,きちんと検討しなければなりません。

このように,日本人の雇用では当たり前が,外国人の雇用においては当たり前ではないこともあります。

第2の課題 「言葉の違い」

採用段階において「言葉の違い」から生じる問題は,雇用条件の理解をめぐる問題です。雇用条件について採用段階に母国語できちんと説明したり,母国語に翻訳した雇用契約書・雇用条件通知書を交付したりしておかなければ,外国人労働者から「こんなこと聞いていない」と言われてトラブルになるおそれがあります。特に,契約書に対する意識が高い国の出身者に対しては,手厚い配慮が求められます。

次に,雇用管理のなかで,「言葉の違い」から生じるもっとも大きな問題は,従業員間でのコミュニケーションがうまく図れないことで発生する労災事故です。上司や同僚の指示をうまく理解できなかったせいで事故につながるケースは,外国人雇用においてしばしばあります。このような事故では,コミュニケーション不足を予防するための措置を講じていなかった雇用先の安全配慮義務違反が認定され,雇用先に賠償責任が認められることがあります。

第3の課題 「文化の違い」

外国人雇用において,日本流の常識は通用しません。「日本ではこれが当たり前」とどんなに力説しても,外国人労働者の納得は得られません。

例えば,外国には旧正月やクリスマスなどそれぞれの文化特有の祝祭日があり,外国人労働者から「国に帰りたいので有休をとりたい」と求められることがあります。そのときに,「こんな忙しいときに有休をとるな」と叱責しても,外国人労働者の不満を募らせるばかりです。そもそも,雇用しようとする人の国の習慣ではどの期間に休暇を取得する傾向にあるのかをきちんと理解したうえで,十分に配慮することが適切な対応です。

また,宗教によっては就業時間中の礼拝等を必要とするケースもありますので,このようなことへの配慮も必要です。将来的にはたくさんの外国人を採用して長く働いてほしいと考えるのであれば,社員食堂のハラール対応なども検討すべきです。

さらに,LGBTへの対応など,日本ではまだまだ対応が不十分で外国では当たり前になっていることに対する配慮も求められます。

弁護士より一言

ここまで説明すると,「難しそうだから外国人は採用しないほうがよいのかな・・・」と思われるかもしれません。しかし,そのようなことは決してありません。なぜなら,経営者が「3つの課題」について一人で頭を抱え,すべて一人で解決しようとする必要は決してないからです。

まず,「第1の課題」にお悩みであれば,当事務所にご相談ください。採用段階から,採用後の雇用管理まで,当事務所がどのようなことに気をつけなければならないかを逐一アドバイスして,外国人雇用に適した就業環境づくりをお手伝いします。外国人雇用において一番難しいのは在留資格の問題ですが,難しいことは,専門家の手を借りればよいことです。

次に,「第2の課題」や「第3の課題」にお悩みであれば,雇用したい外国人の国の文化に詳しい人材を採用すればよいのです。そのような人材を採用する際にも,当事務所にご相談されることをお勧めします。なぜなら,専門的な人材を採用する際には,雇用条件について,通常の雇用契約とは異なった配慮が求められるからです。また,日本人の労働者が外国人労働者に対して差別的言動やハラスメント行為をしないように,外国人雇用に特有の差別・ハラスメントに配慮した就業規則の整備も求められます。

当事務所では,このケースのような従来型の外国人雇用のことから,平成31年4月の入管法改正で新しくスタートする「特定技能」制度での外国人雇用のことまで,手厚くサポートいたします。お困りの際は,悩まずみお神戸にご相談ください。

平成31年4月の入管法改正でスタートする特定技能については,「『特定技能』資格で外国人を雇用する際の契約書・支援計画づくりと雇用管理のポイント」のコラムで詳しく取り上げていますので,ご一読ください。

 

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弁護士:石田優一

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