弁護士法人 みお綜合法律事務所神戸支店
2024.05.14
離婚・夫婦のトラブル

ペアローンを組んだ夫婦の財産分与(離婚)について解説

夫婦ペアローンと離婚

節税効果が大きいことなどを理由に、住宅を購入する際に、夫婦ペアローンを組むケースはしばしばあります。夫婦ペアローンとは、夫婦それぞれが主債務者となって、1本ずつローンを組む方法です。一般に、それぞれが相手の連帯保証人となるケースが多いです。

夫婦ペアローンは、夫婦間の関係が円満であれば特に問題は生じませんが、夫婦の関係が悪化して離婚しなければならない状況になると、問題が生じます。具体例で説明します。

検討事例

Aさん(妻)は、Bさん(夫)との離婚を考えています。AさんとBさんは、10年前に、夫婦ペアローンで自宅マンションを購入しました。AさんとBさんとの間には、15歳の長男と、12歳の長女がいます。Aさんは、子ども2人と一緒に、引き続き自宅マンションに住み続けたいと考えています。

どのような問題があるか?

この事例において、Aさんは、自宅マンションに住み続けたいと考えています。しかし、Bさんの立場からすれば、離婚後には自分が住むことのできない自宅マンションのローンを引き続き負担し続けなければならないことに、抵抗感のあるケースが多いです。AさんとBさんとの間の気持ちのズレを解消するためには、どのように話合いを進めればよいでしょうか。

解決策1.妻(Aさん)が持分を買い取ってローンをすべて負担する

第1の解決策が、妻(Aさん)が夫(Bさん)の自宅マンションの持分をすべて買い取って、その後のローンはすべて自分が負担する方法です。

ローンをすべて負担する方法として、1つは、「借り換え+連帯保証人の変更」があります。妻(Aさん)の組むローンについて夫(Bさん)から別の人に連帯保証人を変更するとともに、夫(Bさん)のローンについては妻(Aさん)への借り換えをする方法です。ただ、このような方法は、債権者の了承が得られず、実現が難しいケースが多いです。

そこで、より現実的な方法として、夫婦間の合意で、「妻(Aさん)が夫(Bさん)の分も含めたすべてのローンを負担し、夫(Bさん)に一切迷惑をかけないこと」を取り決める方法が考えられます。この方法であれば、債権者の了承は不要ですが、夫婦間でこのような合意をしたことをもって、夫(Bさん)が債権者に対してローンの支払を拒否することはできません。もし、妻(Aさん)が約束を破れば、夫(Bさん)は、ローンを負担せざるを得なくなります。

解決策1.については、借り換えなどが現実的に可能か(債権者の了承が得られる見込みはあるか)、そして、夫婦間の合意を真摯に遵守することをお互いに信頼できるかが、ポイントとなります。また、妻(Aさん)が持分を買い取れることが前提ですので、妻(Aさん)の資力も問題になります。

解決策2.自宅マンションを売却する時期を決めて一定期間居住を続ける

第2の解決策が、しばらくの間は妻(Aさん)が自宅マンションに引き続き居住することを、夫婦間の合意で認めたうえで、将来的に、自宅マンションを売却する方法です。

例えば、今回の事例であれば、長女が大学を卒業する10年間は、妻(Aさん)が自宅マンションに(子どもと一緒に)継続して居住することを認め、その後、自宅マンションを速やかに売却することを、夫婦間で合意する方法が考えられます。

売却益については、夫婦間で折半にするか、あるいは、妻(Aさん)が居住の利益を得ていたことを理由に、売却益の取り分について夫(Bさん)と妻(Aさん)に差をつける方法が考えられます。

また、自宅マンションを売却するまでの間、妻(Aさん)が、夫(Bさん)に対して、一定の賃料を支払うことも考えられます。

解決策2.においては、自宅マンションを売却する時点でオーバーローンの状態(ローンの残高のほうがマンションの売却価格よりも大きい状態)になっている場合に、残ローンを夫婦間でどのように負担するかも決めておかなければなりません。

自宅マンションの売却時期がかなり先に設定されている場合、その間に夫婦間の連絡が途絶えて、売却が実現できなくなってしまうおそれもあります。そのような状況に陥らないように、夫婦間の連絡手段を継続的に確保しておくことが必要です。

解決策3.早期に売却してしまう

妻(Aさん)のご意向に沿った解決策ではありませんが、離婚時に自宅マンションを売却してしまうほうが、解決策1./解決策2.で取り上げた問題が生じないメリットがあります。自宅マンションを残す方向性だけではなく、自宅マンションを売却する方向性も、1つの選択肢として考えておくことがよいと思います。

妻(Aさん)としては、自宅マンションを売却することを承諾したうえで、子ども2人と暮らせる広さの住宅を賃貸するために必要な養育費を約束するように、妻(Bさん)に求める方向などが考えられます。

財産分与の話合いで困ったときは弁護士にご相談を

夫婦ペアローンに限らず、住宅ローンを組んだ状況で財産分与の話合いを進める場合、自宅不動産の扱いをめぐって夫婦間の対立が生じるケースがよくあります。財産分与の問題でお困りの際は、ぜひ、「みお神戸」の弁護士にご相談ください。弁護士がご事情を丁寧にうかがって、解決のための道筋をアドバイスいたします。

 

このコラムを書いた人

弁護士石田優一
兵庫県弁護士会所属 68期 登録番号53402
みお神戸支店長、パートナー弁護士。社会保険労務士、登録情報セキュリティスペシャリストの資格を持ち、くらしの身近な相談から、企業法務、IT法務、ベンチャー支援まで、幅広く注力する。弁護士として神戸・兵庫に貢献できることを日々探求している。

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