ご主人(奥様)が突然逮捕されたら?(1/3)-弁護人の早期選任
- <このコラムでお伝えしたいこと>
- 1 はしがき
- 2 逮捕された後、何が起きるのか
- (1) 逮捕されると、どのくらい身柄を拘束されますか?
- (2) ご家族はすぐに面会できますか?
- 3 弁護人に早くつながることのメリット
- (1) なぜ「早さ」が重要なのですか?
- (2) 早い段階の面会で、弁護士は何をするのですか?
- (3) 身柄の解放に向けて、弁護士はどう動くのですか?
- 4 当番弁護士・国選弁護人・私選弁護人と、弁護士の選び方
- (1) 当番弁護士・国選弁護人・私選弁護人は、どう違いますか?
- (2) 弁護士を選ぶとき、どこを見ればよいですか?
- 5 弁護士法人みおのサポート
- <Q&Aまとめ>
- Q1.家族が逮捕されました。すぐに面会できますか?
- Q2.逮捕されると、どのくらいの期間、身柄を拘束されますか?
- Q3.取調べで、まず気をつけることは何ですか?
- Q4.勾留を避けたり、早く解いたりするために、弁護士は何をしますか?
- Q5.当番弁護士と私選弁護人は、何が違いますか?
弁護士 石田 優一
<このコラムでお伝えしたいこと>
ご家族が突然逮捕され、動揺していらっしゃる方へ。逮捕直後、ご家族は原則としてご本人に面会できませんが、弁護士は早い段階からご本人に面会できます。全3回シリーズの第1回では、できるだけ早く弁護士につながることのメリットを、実務の視点からくわしくご説明します。
1 はしがき
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ある日突然、警察が自宅を訪れ、ご家族が任意同行(本人の同意にもとづいて警察署などへ同行すること)を求められる。そのまま逮捕され、その日は帰ってこない。警察に問い合わせても「面会はできません」と言われる。何をすればよいのか分からず、頭が真っ白になる――。
弁護士法人みおにお寄せいただくご相談でも、こうした場面は少なくありません。一番の不安は、多くの場合「いま何が起きているのか分からない」ことにあります。
しかし、打つ手はあります。まずは弁護士がご本人に面会して、直接事情をうかがうこと。それが最初の一歩です。
本コラムは全3回のシリーズです。第1回では、できるだけ早く弁護士につながることのメリットを取り上げます。第2回ではご家族の心構えを、第3回では弁護活動にご家族の力が欠かせない理由をご説明します。
2 逮捕された後、何が起きるのか
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まず、逮捕された後の時間の流れを押さえておくと、見通しが立てやすくなります。逮捕とは、罪を犯した疑いのある方の身体を、捜査のために一時的に拘束する手続をいいます。
(1) 逮捕されると、どのくらい身柄を拘束されますか?
身柄拘束の期間には、法律で上限が定められています。以下は、令和8年(2026年)時点の刑事訴訟法にもとづく流れです。
まず、警察は逮捕から48時間以内に、事件を検察官へ送ります(刑事訴訟法203条1項)。次に、検察官は受け取ってから24時間以内、かつ身体拘束の時から72時間以内に、勾留(こうりゅう。起訴の前に身柄を拘束し続ける手続)を請求するかどうかを判断します(刑事訴訟法205条)。
裁判官が勾留を認めると、勾留請求の日から原則10日間、身柄が拘束されます(刑事訴訟法208条1項)。やむを得ない事由があれば、通じて10日を超えない範囲で延長されます(同条2項)。
ですから、逮捕から起訴までの身柄拘束は、最長でおよそ23日間に及ぶことがあります。さらに、別の容疑で再逮捕されたり、起訴されたりすると、拘束はより長くなります。「いつ終わるのか分からない」という不安が大きくなりやすいのは、このためです。
(2) ご家族はすぐに面会できますか?
接見交通権とは、身体を拘束されたご本人が、弁護人と立会人なしで面会し、書類や物のやり取りができる権利です。弁護人は、この権利にもとづいて接見(ご本人に面会すること)ができます(刑事訴訟法39条1項)。これは憲法34条に由来する重要な権利であると理解されています。
他方、ご家族など弁護人以外の方の面会は、法令の範囲内にとどまります(刑事訴訟法80条。逮捕・勾留されたご本人については同法207条を通じて扱われます)。実務上、逮捕直後の段階では、ご家族であってもご本人に面会できないことが多いです。
さらに、裁判所が接見等禁止(せっけんとうきんし)の決定をすると、ご家族は面会も物のやり取りもできなくなります(刑事訴訟法81条)。もっとも、この場合でも弁護人はご本人に面会できます。
ご相談の中には、「警察に面会できないと言われて途方に暮れた」という声も少なくありません。だからこそ、ご本人に面会できる弁護士の存在が、最初のよりどころになります。
3 弁護人に早くつながることのメリット
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弁護人へ早くつながるメリットは、大きく次の3つです。第1に、時間との闘いに間に合うこと。第2に、早い段階の面会でご本人を守れること。第3に、身柄の解放に向けて動けることです。
(1) なぜ「早さ」が重要なのですか?
刑事弁護は、時間との闘いです。1日1日の動きが、その後を左右します。なぜなら、取調べが本格的に始まる前に弁護活動をスタートできれば、ご本人が不利な状況に追い込まれるのを防ぎやすくなるからです。
弁護士法人みおでは、可能な限り早く、なるべく当日または翌日にはご本人に面会できるよう努めています。日中の予定が立て込む日でも、夜間の緊急対応を検討することがあります。逆に、ご相談が遅れるほど、打てる手は少なくなっていきます。
(2) 早い段階の面会で、弁護士は何をするのですか?
第1に、「何があったのか」を、一切の偏見なしに、一からうかがいます。たとえ報道されている事案でも、その報道の内容は信頼せず、ご本人の生の声からうかがうことを大切にしています。
実際のご相談でも、報道と実際とが食い違うことは珍しくありません。例えば、ご本人が否認しているとき、報道では「事実を認めていない」ことだけが伝えられ、その理由は分からないことが多いものです。しかし、ご本人のお話をうかがうと、なぜ認めていないのかがよく分かります。報道が、真実ではなく捜査機関の描く筋書きに沿って進んでいることも少なくありません。
第2に、ご本人とご家族の橋渡しです。ご本人も、ご家族に事情を伝えられずに困っていることが多いものです。ご相談の場面でも、弁護士が面会で伝言をお預かりして伝えるだけで、ご家族が安心されることは少なくありません。「何も知らない」と「少しでも知っている」の違いは大きいのです。
第3に、取調べで不利にならないための助言です。ここで特に大切なのが、1日も早くご本人に面会し、署名すべきでない書面には絶対に署名しないことをお伝えすることです。取調べで作成される供述調書(きょうじゅつちょうしょ。取調べでの供述を書き取った書面)は、いったん署名すると、後から覆すのが難しいためです。
【具体例】例えば、警察の取調べで「手が当たったかもしれない」という調書に署名したとします。すると、後の検察官の取調べで「何もしていない」と言っても、「警察では手を出したと話しているのに、供述を変えるのですか」と指摘されるおそれがあります。実際には「手が触れた可能性はないか」と問われ「ないとはいえない」と答えただけでも、調書になれば思わぬ方向に話が進みかねません。だからこそ、調書への不用意な署名は大変危険です。
弁護士は、これまでの経験をもとに、こうした危険を具体的にお伝えできます。早い段階で弁護人がつくことは、ご本人がお一人で取調べに向き合う不安を、大きく和らげます。
(3) 身柄の解放に向けて、弁護士はどう動くのですか?
弁護人は、勾留の前後で動きます。勾留の前の段階では、必要に応じて、早期の釈放や不当な捜査の是正を求める意見書を検察官へ提出します。これまでのご相談でも、検察官へ意見書を提出したことで、不当と思われる勾留請求を防げたケースがありました。もっとも、どのような結果になるかは事案によって異なります。
勾留の請求がされる段階では、勾留をしないよう裁判官に意見を述べることもあります。そして、勾留や勾留延長の決定がされた後は、準抗告(じゅんこうこく。決定に対する不服申立て)で争います。
この身柄解放の活動は、ご家族の協力とも深くつながっています。ご家族が身元引受人(釈放後にご本人を監督し、生活を支えることを約束する人)として積極的に関わることは、捜査機関が早期の釈放に応じる動機になりえます。さらに、起訴された後の保釈を円滑に進めることにもつながります(くわしくは第3回でご説明します)。
4 当番弁護士・国選弁護人・私選弁護人と、弁護士の選び方
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逮捕されたご本人に付く弁護士には、大きく3つのかたちがあります。混同しやすいので、違いを整理します。
(1) 当番弁護士・国選弁護人・私選弁護人は、どう違いますか?
当番弁護士とは、弁護士会が派遣する弁護士で、逮捕された後に初回1回、無料で接見(面会)に来てくれる制度です。国選弁護人とは、国の費用で付される弁護人で、被疑者の段階では、勾留された後に、資力その他の要件を満たす場合に選任されます(刑事訴訟法37条の2)。私選弁護人とは、ご本人やご家族が自ら依頼する弁護人です。
被疑者国選の対象は、平成30年(2018年)6月1日から、勾留された被疑者の全事件に広がりました。もっとも、勾留される前の逮捕段階は、国選の対象外です。この段階の受け皿になるのが、当番弁護士制度と私選弁護人です。神戸市の事案では、兵庫県弁護士会の当番弁護士制度や、勾留後の国選について法テラス兵庫が窓口になります。
3つの違いは、次の表のとおりです。
| 弁護士のかたち | いつから利用できるか | 弁護士を選べるか | 継続的な弁護活動 |
|---|---|---|---|
| 当番弁護士 | 逮捕直後から(初回1回・無料) | 選べない(弁護士会が割り当てる) | 原則その1回のみ(続けるには私選契約が必要) |
| 国選弁護人 | 勾留された後から(逮捕段階は対象外・資力要件あり) | 原則選べない | 継続的に対応 |
| 私選弁護人 | 逮捕前・逮捕直後から | 自分で選べる | 継続的に対応 |
継続的な弁護活動や、逮捕直後からの迅速な対応を重視するなら、私選弁護人に依頼する方法が考えられます。信頼できる弁護士を自ら選べるのは、私選ならではの利点です。弁護士費用については、受任前に丁寧にご説明しますので、ご安心ください。
(2) 弁護士を選ぶとき、どこを見ればよいですか?
重視する点はご家族によって異なりますが、刑事弁護で大切なのは、事件に真摯に向き合っているか、そして弁護方針が明確かという点だと考えられます。ご相談の際には、事件にどのように取り組む姿勢かを確認されるとよいでしょう。
5 弁護士法人みおのサポート
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ご家族が突然逮捕されると、何から手をつけてよいか分からなくなるものです。まずは弁護士にご相談ください。
弁護士法人みおは、刑事弁護に真摯に向き合い、事案に応じて臨機応変に対応します。逮捕・勾留されたご本人への面会(接見)、取調べへの助言、身柄の解放や示談に向けた活動まで、状況を見極めて進めます。刑事・民事のいずれにも対応できるため、逮捕にともなって生じる問題にも、あわせてサポートできます。
神戸三宮からもお越しいただきやすい体制を整えています。刑事弁護は時間との闘いです。できるだけ早い段階で、お気軽にご相談ください。
<Q&Aまとめ>
Q1.家族が逮捕されました。すぐに面会できますか?
A1.逮捕直後は、ご家族は原則として面会できないことが多いです。一方、弁護士は刑事訴訟法39条1項にもとづき、早い段階から立会人なしでご本人に面会できます。
Q2.逮捕されると、どのくらいの期間、身柄を拘束されますか?
A2.逮捕から起訴まで、最長でおよそ23日間に及ぶことがあります(逮捕後の最大72時間に、原則10日と延長10日の勾留を加えた期間)。再逮捕や起訴があれば、さらに長くなることもあります。
Q3.取調べで、まず気をつけることは何ですか?
A3.署名すべきでない書面に、不用意に署名しないことです。供述調書はいったん署名すると後から覆すのが難しく、思わぬ方向に話が進むおそれがあります。早くご本人に面会した弁護士が、具体的な注意点をお伝えします。
Q4.勾留を避けたり、早く解いたりするために、弁護士は何をしますか?
A4.勾留の前には検察官へ意見書を提出し、勾留をしないよう裁判官に意見を述べます。勾留の決定がされた後は、準抗告で争います。ご家族による身元引受などの協力も、早期の釈放につながります。
Q5.当番弁護士と私選弁護人は、何が違いますか?
A5.当番弁護士は、逮捕後に1回無料で接見(面会)に来る弁護士会の制度です。継続的な弁護活動や、逮捕直後からの迅速な対応、弁護士を自ら選べる点は、私選弁護人の特長です。





