神戸市営地下鉄西神山手線を歩いてみました(西神編)
今回の旅のテーマは?
今回は、2日に分けて、神戸市営地下鉄の新長田駅から西神中央駅までを旅しました。
神戸市営地下鉄は、神戸市街地から須磨ニュータウンまでをつなぐ路線として、1977年に新長田駅から名谷駅までの間の路線(西神編)が開業したことに始まります。
須磨ニュータウンは、神戸市街地の工業化に伴って工場用地の確保や人口急増への対応が課題となって計画されました。六甲山系と臨海部をつなぐ大規模なベルトコンベアが建設されて、六甲山系を切り開いた場所にニュータウンがつくられ、運搬した土砂による臨海部の埋め立てが進められました。
(写真提供 神戸市)
このベルトコンベアは、今回のルートにも含まれる西神ニュータウンの造成にも利用されています。西神ニュータウンの造成のために切り開いた土砂は、六甲アイランドの建設に利用されています。
さて、前置きが長くなりましたが、今回の旅ルートをご紹介します。
新長田駅から西神中央駅までは距離が長いため、2日にわけてウォーキングをしました。1日目は新長田駅から学園都市駅まで、2日前は学園都市駅から西神中央駅までを歩きました。
1日目(新長田駅から学園都市駅まで)
旅立ち
さて、新長田駅に到着し、いよいよ旅の始まりです。なお、前回は神戸市営地下鉄海岸線(三宮・花時計前から新長田駅まで)を歩きましたので、今回はその続きとなります。
妙法寺駅まで
新長田駅からしばらく街中を歩くと、板宿商店街に到着します。どこか昭和レトロを感じる魅力ある商店街です。
板宿商店街を抜けて、県道22号線を歩くと、坂道に入ります。妙法寺駅に向かって、なだらかな坂道を歩いてきます。
途中、那須与一の墓にたどり着きました。那須与一といえば、源平合戦(屋島の戦い)において平氏の船に掲げられた扇を射落とした伝説で有名です。那須与一の墓とされる場所は、神戸市のほかに、京都府と栃木県にあるそうです。すぐ近くには、那須与一が信仰したとされる北向八幡神社があります。
県道22号線から少し西にそれて、妙法寺にたどり着きました。妙法寺は、平清盛が福原に遷都した際に、福原京の鎮守の地として保護されていたといわれています。738年に行基が開いたといわれており、1300年近くの歴史があります。
妙法寺からさらに奥に進むと、長い階段にたどり着きます。ここを登り切れば、まもなく妙法寺駅です。
妙法寺駅にたどり着きました。この駅は、「秋の駅」がテーマになっており、(写真では見えませんが)赤茶色の屋根をもち、施設内にも秋を思わせる陶板が飾られているそうです。
名谷駅まで
妙法寺駅を後にして、ここからは名谷駅に向かっていきます。いったいどこに地下鉄があるのかと思われるかもしれませんが、立派な地下鉄沿線です。名谷駅までは、階段と坂道が多く、疲れ果てた足を苦しめます。
神戸市バスの落合営業所にたどり着きました。落合営業所は、西神ニュータウンへのバス路線の増加に対応するために設置されました。
落合営業所から幹線道路をしばらく歩き、やっと名谷駅にたどり着きました。名谷駅は、須磨ニュータウンの中心駅で、「須磨パティオ」という大型商業施設があります。名谷駅は、「0キロポスト」が設置されており、まさに「神戸市営地下鉄発祥の地」ということができます。
総合運動公園駅へ
さて、名谷駅で一息入れたところで、総合運動公園駅に向けて出発です。総合運動公園駅は、2015年まで、“日本一高い場所にある地下鉄駅”として知られていました。そのような異名を持つ駅とあって、再び坂道に苦しめられることになります。
途中、地下鉄の車両基地がありました。残念ながら、一般人が施設内に立ち入ることはできませんでしたが、見慣れた車両の数々が一堂に会する姿は圧巻です。
総合運動公園駅への案内板がありました。地下鉄の駅に向かうのに、軽い山登りをしなければなりません。
いったいどこに向かっているのか忘れてしまいそうですが、きちんと地下鉄の駅に向かっています。
たどり着きました。さすが、“日本一高い場所にある地下鉄駅”の称号をかつて与えられていた駅とあって、さながらケーブル駅かロープウェイ駅と見紛うばかりです。
ここからは、幹線道路をしばらく歩いていきます。
学園都市駅に到着
学園都市駅に到着しました。この駅は、西神ニュータウンの1つである、神戸研究学園都市の中心駅です。兵庫県立大学をはじめ、神戸市外国語大学、神戸市看護大学など、様々な教育機関が立ち並ぶ地域です。駅前は、学生やファミリー層でにぎわっています。
2日目(学園都市駅から西神中央駅まで)
さて、2日目は、学園都市駅から西神中央駅までを目指します。
伊川谷駅へ
さて、学園都市駅を後にして、伊川谷駅を目指します。にぎやかな街並みを過ぎると、のどかな景色が広がり、まるで異世界にたどり着いたような錯覚に陥ります。幻想的な風景に旅の趣旨を忘れてしまいそうですが、右手に映る道路の下には、きちんと地下鉄が通っています。
伊川谷駅に到着しました。この周辺は農業が盛んな地域で、「伊川谷」の名前は地産地消をうたうお店でもよく見かけます。
西神南駅、そして、西神中央駅へ
さて、ここからは、ひたすら自分の足を頼りに、西神中央駅を目指していきます。
再び幻想的な風景に巡り会いました。のどかな田園風景が拡がり、この沿線を地下鉄が通っているとは信じがたいです。学園都市駅は、活気のある住宅街であることも魅力ではありますが、少し足を運ぶとこのような幻想的な風景を楽しめることも、隠れた魅力の1つであると思います。
西神中央駅にたどり着いたころには、夜になっていました。この時間ではもう景色も楽しめないと思っていた矢先、旅の疲れをいやすおしゃれスポットを見つけました。
今年10月に開業したばかりの「なでしこ芸術文化センター」です。西図書館が施設内に移転していました。
芸術的な建物の中に、3階建ての図書館があります。建物内には自習ができるフロアがあり、学生の皆さんが勉強に励んでいらっしゃいました。勉学の疲れをいやしてくれるおしゃれカフェも併設されています。
長旅を終えて
長旅を終えてから、西神ニュータウンについて調べてみました。西神ニュータウンの構想の歴史は古く、裁判官(退官後は弁護士)兼政治家であった野田文一郎氏が、戦前に「新都市建設」を提唱したことに端を発します。野田文一郎氏は、神戸市長のほか、神戸弁護士会(現在の兵庫県弁護士会)会長も歴任されています。かつて野田文一郎氏が思い描いた姿が現実になって、今に至っています。
さて、次回は、神戸市営地下鉄山手線を歩きます。どんな新しい発見があるか、楽しみです。