弁護士法人 みお綜合法律事務所神戸支店

⽯⽥弁護⼠ ⽯⽥弁護⼠
神⼾・兵庫ぶらり探訪

2022.11.20
神戸市

新神戸駅から森林植物園・谷上駅まで歩きました

今日の旅のテーマは?

今回は、新神戸駅から布引方面に向かい、森林植物園を経由して谷上駅まで歩きました。神戸市営地下鉄北神線(旧北神急行)で結ばれています。今回の旅は、「神戸市営地下鉄を歩いてみました」シリーズの完結編です。

神戸市営地下鉄北神線は、六甲山を南北にトンネルで貫いています。電車では約8分で到着しますが、山あり谷ありで約5時間の旅となりました。

新神戸駅から布引へ

さて、新神戸駅から旅は始まります。新神戸駅は、六甲山を貫く2つのトンネル(六甲トンネル・神戸トンネル)に挟まれるように位置しています。新幹線駅としては珍しい山のふもとにある駅です。

さて、新神戸駅は、布引方面への登山口のようになっています。案内に従って、布引の滝に向かって歩いていきましょう。

新神戸駅から数分歩くと、布引の滝に向かうハイキングコースになります。

鉄道唱歌山陽・九州編は、「夏なほ寒き布引の 瀧のひびきをあとにして 神戸の里を立ちいづる 山陽線路の汽車の道」という一節で始まります。布引の滝は、那智の滝(和歌山県)、華厳の滝(栃木県)と並ぶ日本三大神滝の1つとされ、古くから数々の和歌で詠まれる名所として親しまれてきました。今でも、市街地から気軽に訪れることができる観光スポットとして知られています。

布引の滝(雄滝)に到着しました。この日は水量が少なかったですが、水量の多い日は「瀧のひびき」を感じられるような“雄大な滝”になります。

布引の滝からしばらく登っていくと、「見晴らし展望台」にたどり着きます。展望台からは、神戸の市街地を臨むことができます。さて、ここからは、布引貯水池を目指します。

途中、神戸布引ロープウェイが見えました。神戸布引ロープウェイ(開業時は新神戸ロープウェイ)は、布引ハーブ園の開園に合わせて、平成3年に開業しました。

古い地図を見ると確認できるように、現在の布引ハーブ園の所在する場所には、神戸ゴルフ場がありました。神戸ゴルフ場は、昭和42年に水害で土砂崩れを起こし、近隣に被害が生じました。被害住民への補償問題など紆余曲折を経て、最終的に神戸市が用地を買い上げて、その後、公共施設として再整備されることになりました。

この件に限らず、土地の開発が災害を招いたケースは様々あります。過去の事故について風化させず、それを教訓に対策に取り組んでいくことは重要です。

猿のかずら橋に到着しました。この橋は、森林の保育のために整備され、「祖谷のかずら橋」にあやかって名付けられたものです。

五本松かくれ滝にたどり着きました。この滝は、上流の布引五本松ダムがオーバーフローした際に現れるそうですが、この日はほとんど水の流れを確認することができませんでした。

布引貯水池の近くまでたどり着きました。この上にどのような絶景が待っているのか、期待に胸が高まります。

布引貯水池に到着しました。人気の観光スポットとあって、噂に違わない絶景です。

布引の水は、かつて、「赤道を越えても腐らない水」として船舶に積載され、船乗りの生活用水として利用されていました。六甲山は急峻な地形のため、有機物やミネラルが水に溶け込みにくく、不純物が少ないために腐りにくいそうです。

そこからさらに登っていくと、布引ハーブ園との分岐に到着します。布引ハーブ園を経由して布引貯水池を訪れることもできます。

締切堰堤(しめきりえんてい)に到着しました。布引貯水池の上流は、大雨があった際に濁流が流れてこないように、通常時の清水と大雨時の濁流とを分岐させる構造をしています。締切堰堤は、清水の逆流を防ぐための施設です。六甲山は、急峻な地形のため、上流で大雨が降ると土砂が流れやすい性質があります。布引貯水池に常にきれいな水が流れてくるように、明治時代に、布引貯水池(布引五本松ダム)や締切堰堤をはじめとする治水工事が行われました。

布引の水は、神戸市民の生活用水として、そして、神戸港から出港する船舶の用水として、長い間活用されてきました。現在でも、布引の水は、水道水の一部として利用されているほか、ミネラルウォーターとしても販売されています。布引の水がなければ、現在の神戸の発展はなかったといっても、過言ではありません。

森林植物園へ

ここから、赤く色づいた景色も楽しみながら、市ケ原に向けてさらに登っていきます。途中で1軒のお茶屋さんがありました。

市ケ原に到着しました。ここで一休みして、白玉ぜんざいをいただきました。市ケ原は、現在はBBQやキャンプ場として知られていますが、かつては集落があり、神戸ゴルフ場の土砂崩れで大きな被害を受けました。

本来は、ここから北上してあじさい広場を経由して森林植物園に向かうのですが、最近のがけ崩れで通行に支障のある場所があるため、今回は迂回路を経由して森林植物園に向かうことになりました。

迂回路を進むとすぐ河原があり、この日はBBQを楽しむ方が多数いらっしゃいました。近くまで車で来られるため、市民の憩いの場として親しまれています。

ここからは、ひたすら山道を進んでいきます。時々歩きにくい場所もありますが、多くが初心者向けのコースで、気軽にハイキングを楽しむことができます。

迂回路を終え、森林植物園まで「トエンティクロス」を進んできます。トエンティクロスは、かつて、“20回も川を渡らないといけない道”という意味で名づけられたそうです。

森林植物園への東門近くにたどり着きました。この川を渡っていきます。

森林植物園にたどり着きました。森林植物園は、昭和15年に開園した歴史ある植物園で、六甲山の自然をうまく活かしたところに特長があります。四季折々の様々な景色を楽しむことができます。

森林植物園の中にはカフェもあり、ファミリーやカップルでも楽しめる場所です。

今回は、弓削牧場のチーズを使ったパウンドケーキを購入しました。

森林植物園の正門にたどり着きました。すぐ近くにバス停があり、三宮バスターミナルからの直通便がありますので、気軽に訪れることができます。

谷上駅へ

森林植物園の正門から谷上駅までは、「山田道」という名称の山道を歩きます。

左側のコンクリートの向こうには住宅街があります。まるで海外の街を訪れたかのような隠れおしゃれスポットです。

山道を抜けると、谷上の市街地が見えてきました。いよいよ長い旅も終わりに近づきました。

谷上駅に到着しました。谷上駅は、北神急行から神戸市営地下鉄の駅になってから、日本一標高の高い地下鉄駅(244m)となりました。谷上駅は、神戸電鉄との乗換駅で、有馬温泉方面を訪れる際に便利な駅です。

旅の終わりに

今回の旅でも、神戸の魅力を再発見することができました。旅を終えてから、布引の水道施設について詳しく調べてみました。

布引の水道施設が整備されるまで、神戸の飲料水は井戸水が中心で、飲料水によるコレラの発生が問題になっていたそうです。このような問題を解消するために、初代神戸市長であった鳴瀧幸恭(なるたきゆききよ)氏が、市議会と折衝しながら多額の予算を投じて作り上げたのが、布引の水道施設であったそうです。その功績から、鳴瀧氏は、「水道市長」と呼ばれているそうです。布引の水が神戸の発展を支えてきた歴史を考えると、鳴瀧氏の功績がいかに大きいものであったかが分かります。

次回は、須磨離宮公園を取り上げる予定です。

業務案内 業務案内