遺産分割協議の通知書が届いたときの対応は?
- 1 「遺産分割に応じてください」という通知書が自宅に届いたら
- [NG!]読まずに捨ててしまう、あるいは、無視をする
- [NG!]内容を読まずにハンコを押してしまう
- [NG!]通知書の意味が分からないのでとりあえずハンコを押してしまう
- 2 通知書を受け取ったら何をすべきか?
- (1)まずは内容をよく読むところから
- (2)記載された遺産の内容に不足はないか?を考える
- (3)遺産分割の条件はフェア(公平)なものか?を考える
- (4)疑問があれば通知者に問い合わせる
- (5)弁護士に相談する
- 3 ケース1-「財産の管理を自分に任せるように」と求める親族
- 4 ケース2-寄与分を主張
- 5 ケース3-「財産はもう残っていない??」
- 6 弁護士に相談・依頼するメリット
弁護士 石田 優一
弁護士 是永 淳志
1 「遺産分割に応じてください」という通知書が自宅に届いたら
ご親族が亡くなった後、他の相続人から、「こちらが考える条件どおりで遺産分割に応じてください」という通知が届くケースはよくあります。そのようなときに、絶対にやってはいけない対応は、次の3つです。
[NG!]読まずに捨ててしまう、あるいは、無視をする
もっともNGな行動は、通知書の内容を確認せずに破棄したり、無視したりすることです。遺産分割協議の通知書が届いたということは、何らかの遺産を受け取れる可能性が高いですので、破棄・無視をすることは得策ではありません。
仮に、遺産を受け取る必要がないと考えていても、通知書を破棄・無視すべきではありません。なぜなら、通知書を無視すると、調停事件に発展し、紛争に巻き込まれてしまうリスクがあるからです。「関わりたくない」と思っていても、破棄・無視することは避け、まずは、内容をじっくりと確認してください。
[NG!]内容を読まずにハンコを押してしまう
たとえ弁護士が作成した通知書であっても、「専門家が作成した文書だから、自分に不利な内容は含まれていないはず」と安易に考えてはいけません。
なぜなら、弁護士は、依頼者の意向に従って活動しますので、フェア(公平)な条件が通知書に示されているとは限らないからです。
[NG!]通知書の意味が分からないのでとりあえずハンコを押してしまう
たとえ通知書の中身を確認しても、通知書の内容を十分に理解して、検討しないままに応諾してしまえば、「内容を読まずにハンコを押す」ことと同じ結果になってしまいます。
この後ご説明するように、通知書の内容に疑問があったり、十分に理解できていない部分があったりしたときは、弁護士にご相談いただくことをおすすめします。
2 通知書を受け取ったら何をすべきか?
ここからは、通知書を受け取ったとき、どのように対応すべきかを説明します。
(1)まずは内容をよく読むところから
まずは、通知書の内容をじっくりと読んでください。遺産としてどのようなものがあるか、そして、通知者である相続人がどのような遺産分割を希望しているのか、細かくチェックしてください。
(2)記載された遺産の内容に不足はないか?を考える
通知書の内容を確認した後、記載された遺産の内容に不足がないか、吟味してください。
亡くなった方について把握している事情をよく整理して、「もしかしたらこのような財産も持っていたのではないか?」「だれかにお金を貸していたのではないか?」など、できる限り、細かく考えてください。
可能であれば、(関係が良好な)他の相続人に連絡を取って、情報共有することが望ましいです。そうすることで、遺産の内容に不足があることが発覚することは、しばしばあります。
(3)遺産分割の条件はフェア(公平)なものか?を考える
次に、提示された遺産分割の条件がフェア(公平)なものか、吟味してください。まずは、1人の相続人の取り分が多くなっていないかを確認しましょう。
また、一見すればフェアな分け方のようでも、実際は、相続人の1人が多額の生前贈与を受けていて、その点が考慮されていないケースもあります。生前贈与を受けた相続人が、他の相続人と同じ額の遺産を受け取ることは、不公平です。
このような観点で、遺産分割の条件に問題がないか、じっくりと考えてください。
(4)疑問があれば通知者に問い合わせる
(2)(3)の検討を行って、少しでも疑問があれば、率直に通知者に(弁護士からの通知であれば法律事務所に)問い合わせてください。もし、問合せに対して誠実な回答を得られなければ、何かを隠しているかもしれません。
(5)弁護士に相談する
そのうえで、少しでも納得できないことがあれば、必ず弁護士に相談してください。遺産分割協議書は、一度ハンコを押してしまうと、原則として撤回できません。ハンコを押した後で、「しまった!」と思っても、ほとんどのケースでは取り返しがつきません。
3 ケース1-「財産の管理を自分に任せるように」と求める親族
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亡くなった父親の件で、長男から、相談者のもとに、次のような手紙が届きました。 「父親の財産は、長男として、すべて私のほうで管理します。手続をこちらで進めるための書類を一式送りますので、実印を押して、印鑑登録証明書とともに返送してください。財産は、平等に分配するつもりですので、安心してください。」 |
さて、このような手紙について、そのまま受け入れてもよいのでしょうか。結論からいえば、安易に信用すべきではありません。このようなケースでは、すべての手続が終わると、長男が「財産の独り占め」を主張し始めることが珍しくありません。
公平な条件での遺産分割協議書が完成する前に、ひとまず相続人の1人に預貯金口座の払戻し手続などを委ねると、いざ手続が完了した後に、その財産を独占されてしまうことがあります。
たとえご親族からの要望であっても、(公平な条件での遺産分割協議書が完成する前に)預貯金口座の払戻手続に関する書類などに実印を押したり、印鑑登録証明書をむやみに相続人の1人に託したりすることは、極力避けてください。
また、このようなケースにおいては、弁護士へのご相談をいただくことをおすすめします。経験豊富な専門家として、ご親族からの求めに応じるべきか、応じないならばどのように回答・対応すべきか、アドバイスを差し上げます。
4 ケース2-寄与分を主張
| 母親が亡くなってしばらくしてから、姉から、「私には寄与分があるので、あなたにお渡しする相続財産はありません。私は10年以上、母親の面倒を見てきましたが、あなたは、母親のために何もしていません。私は、当然の権利を主張しています。」といった手紙が届きました。 |
たしかに、亡くなった方の看護・介護をしていた相続人に、一定の寄与分が認められるケースはあります。しかし、寄与分を理由として他の相続人の取得できる財産がゼロになるケースは、ほとんどありません。そもそも、寄与分の認定自体、ハードルが高いものです。
寄与分の問題は、専門家でも判断に迷うほど難しいものです。安易に主張を受け入れず、経験豊富な弁護士にご相談いただき、アドバイスを受けることを強くおすすめします。
5 ケース3-「財産はもう残っていない??」
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父親が亡くなってしばらくしてから、父親と同居していた兄から通知書が届きました。そこには、「介護などでこれまでお金がかかったので、お父さんが亡くなったときには、ほとんど資産がない状態でした。今回ほとんど分けるものはありませんので、私のほうで預貯金の払戻手続を済ませて終わろうと思っています。」と書かれていました。もともと、父親は事業をしていて、それなりに資産があったはずなので、通知書の内容に疑問があります。 |
このような通知書を受け取ったときは、本当に信用してよいのか慎重に検討すべきです。
もしかすると、お兄様が、お父様の財産状況を自分しか知らないことを利用して、相続財産の存在を隠しているかもしれません。また、お兄様が、「父親の看護・介護費用に充てた」と嘘をついて、お父様の財産を私的に流用していたかもしれません。
少しでも通知書の内容に疑問があれば、すぐに経験豊富な弁護士に相談して、アドバイスを受けることを強くおすすめします。
6 弁護士に相談・依頼するメリット
私たち弁護士は、様々な相続案件を目にしてきた経験を活かして、「他の相続人から届いた通知書にどう対処すべきか」について的確なアドバイスを差し上げます。
もし、通知書の内容に疑問があれば、代理人として交渉の矢面に立ったり、相続財産の調査をサポートしたりすることができます。
初回相談は無料です。相続のことでお困りの際は、ぜひ当事務所までお問い合わせください。





