弁護士法人 みお綜合法律事務所神戸支店

ご相談のイメージ

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ご相談のイメージをまとめました。

2024.05.16
離婚・夫婦のトラブル

共働き夫婦で離婚をお考えの方の初回法律相談

解説するケース

共働き夫婦の離婚の場合、財産分与や養育費の考え方が複雑になるケースが多いです。当事務所でご相談をうかがう際のイメージを、ご紹介します。

弁護士:石田 優一 Yuichi Ishida
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ご相談事例

共働きで離婚を検討中の女性からのご相談事例

ご相談分野:離婚
ご相談者様:Aさん(会社員)

私は、10年前に夫(会社員)と結婚しました。夫との間には、8歳の長男と、5歳の長女がいます。最近、子どもの教育方針をめぐって夫婦げんかをする機会が多くなり、家庭内別居に近い状態になっています。先日、夫と話合いをして、離婚の方向で進めることは決まりましたが、財産分与や養育費についてはほとんど何も話していない状況です。

1.まずは離婚へのお考えをうかがうところから

石田弁護士

本日は、ご相談にお越しいただきまして、ありがとうございます。まずは、事前にご記入いただいた相談票を拝見しながら、お話しを進めさせてください。

Aさん

細かい経緯については書けていませんが、大丈夫ですか?

石田弁護士

経緯については、ご相談の中で詳しくうかがいますので、差し支えありません。まずは、なぜ離婚をお考えかについて、お気持ちをうかがいたいです。

Aさん

私は、息子を小学受験させたいと考えていたのですが、夫から「小さいうちからそんなに勉強しなくていい」と言われ、3年くらい前に、その件で度々口げんかをするようになりました。最終的には、夫の方針のとおり、小学受験はさせなかったのですが、その後も、息子の教育方針をめぐって、言い争いになることが何度もありました。

石田弁護士

例えば、暴力を振るわれたり、暴言を吐かれたりすることはありましたか。

Aさん

そういうことはありません。ただ、最近は些細なことでけんかが絶えない状態で、ほとんど会話もありません。今後、夫婦として関係を続けていくことに限界を感じています。

石田弁護士

これまで大変でしたね。ご主人と、今後のことについて、何かお話しはされましたか。

Aさん

先月、夫と2人で、今後のことについて話しました。私から離婚を切り出したところ、夫も、離婚には異存ないと話していました。ただ、離婚の時期や、条件については、ほとんど何も話せていません。

石田弁護士

夫婦間で話合いを進めることが難しければ、裁判所で「調停」をすることも考えられます。ただ、まだ話合いができる状況でしたら、現在同居中でいらっしゃいますし、すぐに調停申立てをせずに、話合いを試みていただくほうがよいと思います。

Aさん

できる限り、円満に話をしたいと思っています。まずは、話合いで進めたいです。

石田弁護士

分かりました。それでは、今回、どのように離婚条件の交渉を進めていけばよいか、検討したいと思います。

2.財産分与について

石田弁護士

まずは、「財産分与」について検討したいと思います。事前に相談票に財産状況をご記入いただきましたので、こちらでお間違いないか、確認させてください。

-相談票にご記入いただいた財産状況について、Aさんに確認-

(1) 退職金・確定拠出年金

石田弁護士

現在は、正社員として勤務されていらっしゃいますが、退職金制度はありますか。

Aさん

はい、おそらく、今の時点で退職すれば、50万円くらいはもらえると思います。

石田弁護士

ご主人の勤務先について、退職金制度のことはご存じですか。

Aさん

退職金制度はありませんが、確定拠出年金に加入しているはずです。おそらく10年以上は掛けていると思います。

石田弁護士

結婚されてから現在までの間に掛けた確定拠出年金については、財産分与の対象になります。すでにご結婚から10年経過されていて、確定拠出年金の額がそれなりに大きくなっていることが見込まれます。話合いの中では、確定拠出年金も財産分与の対象になることをお伝えして、資料の開示を求めていただくほうがよいと思います。

Aさん

私の退職金については、財産分与と関係ありますか。

石田弁護士

退職金も、財産分与の対象となります。ですから、ご自身の退職金の額がご主人よりも多いケースでは、退職金の話を出さずに交渉を進めることをお勧めするケースもあります。ただ、今回は、ご主人の確定拠出年金の額がそれなりに大きくなっているように見込まれますので、確定拠出年金についても財産分与で考慮するようにご主張いただくほうがよいと思いました。

Aさん

えっと、夫の確定拠出年金の額から、私の退職金の額を引いた額が、財産分与の対象になるんですか。

石田弁護士

まずは、そのような考え方での解決を求めていただくことがよいと思います。もっとも、退職金や確定拠出年金については、「全額を財産分与の対象と考えることはおかしい」という見解もあり、法律的にはかなり難しい問題です。もしご主人から、ご相談者様の主張される額が「高すぎる」と反論された場合には、改めて弁護士にご相談いただくことをお勧めします。改めて、法律の考え方に基づいて、ご主人の主張が正当かどうかを検討させていただきます。

(2) 保険

石田弁護士

次に、加入されている保険について検討します。お2人とも、●●生命の生命保険に加入されていますね。あとは、学資保険の加入もされていますね。

Aさん

はい。学資保険は子どものために掛けているものですが、財産分与の対象になるんですか。

石田弁護士

法律上は、学資保険もご主人が掛けているものですので、財産分与の対象になり、その価値を2分の1ずつ夫婦で分けることになります。ただ、学資保険についてはお子さまのために掛けているものですので、実際は、「親権者(ご相談者様)に名義を変更して、財産分与の対象にせず、お子さまの教育費に充てる形」で解決されているケースが多いです。話合いの中では、「学資保険については、財産分与の対象から外して、(子どもの教育費に充てるために)ご自身に名義を変更してほしい」とご主張いただくのがよいと思います。

Aさん

分かりました。生命保険については、どうなりますか。私の保険は、結婚する前から掛け始めたものなので、全額が財産分与の対象になるのは変な気がします。

石田弁護士

生命保険については、解約返戻金の額を財産分与の対象と考えることが原則です。ただし、ご結婚前から掛けていた保険については、おっしゃるとおり、解約返戻金の全額を財産分与の対象にすることはおかしいです。結婚してから現在の期間までが10年で、保険を掛け始めてから現在までの期間が15年ですので、解約返戻金の額に2/3(10/15)を掛けた金額を、財産分与の対象と考えることが分かりやすいように思います。

3.養育費

石田弁護士

続いて、「養育費」について検討したいと思います。

Aさん

養育費は、私の場合、いくらくらいもらえるのですか。

石田弁護士

養育費については、裁判所が公開する「養育費・婚姻費用算定表」で算定することが一般的です。お2人の収入と、お子さまの人数・ご年齢を表に当てはめて、相当額を見ます。算定表によれば、「8~10万円」が相当額ですね。

Aさん

子どもを塾に行かせて、私立中学に進学させたいので、教育費が足りるか心配です。

石田弁護士

算定表は、あくまでも標準的な養育費の目安を算定するものですので、「8~10万円」の範囲で絶対に合意しなければならないわけではありません。例えば、私立の学校に進学した場合には、入学金や授業料を別途折半することを決めたり、進学までの教育費を考慮して養育費を算定表よりも高めに決めたりするケースはよくあります。

Aさん

夫には、どうやって話をしたらよいのでしょうか。

石田弁護士

まずは、今後の教育方針について、改めて話合いの機会を持って、そのうえで、養育費の額についてご希望を伝える流れがよいと思います。

Aさん

ただ、夫は私と教育方針がかなり違うので、話合いができる自信がないです。

石田弁護士

どうしても話合いが進められない場合には、弁護士に交渉を依頼したり、調停申立てをしたりする方向性も考えられます。ただ、いきなりそのような方向性で進めると、相手の敵対心につながり、本来円満にまとまるはずだった話合いが決裂する原因になることもあります。まずは、ご自身のお気持ちを整理して、冷静にご主人のお話合いいただくことがよいと思います。

Aさん

分かりました。自信はないですが、まずは話合いをしたいと思います。

4.その他

石田弁護士

ご自身も、ご主人も、厚生年金に加入されていますが、ご主人のほうが収入が多いですので、「年金分割」を求めていただくことをお勧めします。

-年金分割の手続について詳しくご説明-

石田弁護士

お子さまについては、ご主人の面会交流についても考える必要があります。

-面会交流について詳しくご説明-

5.おわりに

Aさん

今日は、色々お聞きして、気持ちを整理することができました。ただ、夫とうまく話を進められるか、まだ自信がないです。

石田弁護士

ご主人とお話しがうまく進められないときは、ぜひご相談にいらしてください。どうやって話合いを進めればよいか、あるいは、調停に移行すべきかなど、その時のご事情に応じたアドバイスをいたします。

Aさん

話合いがまとまったときは、離婚協議書を作ったらよいのですか。作り方がよく分からなくて。

石田弁護士

離婚協議書については、できれば公正証書の形にすることをおすすめします。公正証書の場合、相手が約束を破ったときに、すぐに強制執行をすることができるからです。ご主人の勤務先の給与を差し押さえることができます。そのほうが、ご主人の側も、「勤務先にあまり事情を知られたくないから、必ず約束を守らないと」というお気持ちになると思いますので、確実に約束を守っていただけることが期待できます。

石田弁護士

離婚協議書については、公正証書の形にする場合も、そうでない場合も、私のほうで文案をご作成することが可能です。そのようなご依頼も承りますので、ぜひご希望があればおっしゃってください。

Aさん

分かりました。ありがとうございます。

石田弁護士

本日は、ご来所いただいて、ありがとうございます。ご自身で交渉されるのは大変だと思いますので、もしお悩みのことがあれば、お気軽にお問い合わせください。

ご相談前にお考えいただきたいポイント

まずはお互いの財産状況を整理するところからスタートしましょう

「財産分与」について考えるうえでは、ご夫婦がそれぞれどのような資産を保有しているかを正確に把握することが重要です。共働き夫婦の場合、ご夫婦がそれぞれ一定額の生活費を家計に入れて、お互いの資産状況を把握していないケースがよくあります。これまでの夫婦生活の中で相手から聞いた情報を整理して、交渉を有利に進めるための材料を集めてください。

弁護士のまとめ

これまで一緒に生活をしてきたご夫婦の関係を解消する以上は、お気持ちの面でも、財産の面でも、「清算」しなければならないことが多々あります。そのため、離婚の話合いは、長期化したり、円満に進められなかったりするケースが少なくありません。離婚の話合いにお困りの際は、当事務所にぜひお問い合わせください。詳しくご事情をうかがって、お気持ちに寄り添いながら、適切な解決策をアドバイスいたします。

弁護士:石田 優一

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