外国人留学生の刑事弁護
今回のコラムのテーマは、外国人留学生の刑事弁護です。外国人留学生は年々増加しており、それに伴って、弁護士が外国人留学生の刑事弁護にかかわる機会も増えています。捜査段階から公判段階まで、外国人留学生に特有の刑事弁護活動の問題について、過去の経験を踏まえながらご紹介と思います。
第1章 事件の依頼を受けた場合の初動対応
1 通訳人の確保
外国人刑事事件の依頼を受けた際に、弁護人がはじめにしなければならないのが、通訳人の確保です。
被疑者の使用言語が少数言語の場合はもちろん、少数言語とまでいえない言語においても、司法通訳人不足が問題になっています。弁護士会等からその言語の司法通訳人の名簿を入手することができる場合には、速やかに連絡を行って、担当通訳人を確保すべきです。特に、少数言語の場合、司法通訳人の候補者がほとんどおらず、調整に難航することも多々ありますので、速やかな対応が重要です。
また、私選刑事弁護の場合、担当通訳人に、通訳費用についても確認する必要があります。タイムチャージ制が採られることの多い通訳費用については、受任段階でどの程度の費用を要するかが分からず、高額になる可能性もあります(接見だけではなく、家族への連絡等、弁護活動にかかわる様々な場面で、通訳人への依頼が必要になります。)ので、依頼者にはその点を十分に説明しておく必要があります。
2 退去強制事由の確認
外国人刑事事件の難しさは、何よりも、在留資格に関する問題がかかわることにあります。留学生の場合、たとえ不起訴処分(起訴猶予処分)となったり、全部執行猶予判決を受けたりしても、退去強制処分等で出国を余儀なくされれば、日本で勉強を続ける機会を奪われ、その後の人生に重大な影響を受けます。実際、留学生の関心事が、不起訴処分の見込みや、起訴された場合の量刑の相場よりも、「これからも日本で勉強を続けられるか」にあることは少なくありません。
初回接見の際に、「私は今後も日本にいられますか」という質問を受けることを想定して、退去強制事由について事前に確認しておく必要があります。
退去強制事由は、出入国管理及び難民認定法(入管法)24条に列挙されています。退去強制事由を確認するうえで、特に気をつけなければならないのが、(1)退去強制事由になりうる事件か、(2)刑に「処せられた」ことが要件になっているか、(3)全部執行猶予判決でも退去強制事由になるかの3点です。
(1) 退去強制事由になりうる事件か
「刑事事件=退去強制」ではなく、罪の種類によって、退去強制事由となるかどうかは異なっています。
例えば、入管法24条3号の2には、一定の在留資格をもって在留する者について、懲役又は禁錮に処せられた場合に退去強制事由となりうる刑法上の罪が列挙されていますが、詐欺罪や恐喝罪が含まれる一方で、法定刑が同一である業務上横領罪は含まれていません。同号に掲げられる罪は、懲役又は禁錮に処せられれば、刑の長短や執行猶予の有無にかかわらず退去強制事由となるので、十分に確認が必要です。
また、入管法24条3号の2に掲げられていない刑法上の罪であっても、退去強制事由になりえます。入管法24条4号リには、「無期又は一年を超える懲役又は禁錮に処せられた者」が退去強制事由となることが定められています。もっとも、全部執行猶予判決を受けた場合や、一部執行猶予判決を受けた場合で執行が猶予されなかった部分の期間が1年以下の場合には、対象から除外されます。
接見時に被疑者から「私は今後も日本にいられますか」と質問を受けたのに対し、「入管法のことは分かりません」と答えれば、不信感につながり、その後の弁護活動に大きな影響が出てしまいます。初回接見前に退去強制事由について十分に確認したうえで、被疑者から質問を受ける前に、弁護人から退去強制のおそれについても説明しておくことが、その後の信頼につながります。
なお、退去強制事由に該当しない罪であったとしても、在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請時に、逮捕歴があることを理由に不許可とされるおそれはありますので、そのような可能性についても伝えておくことで、「確実にずっと日本にいられる」という誤解を避けることができます。
(2) 刑に「処せられた」ことが要件になっているか
例えば、行使の目的で在留カードを偽造した場合は、刑事罰に問われるほか、退去強制事由にもなりますが、入管法24条3号の5イには「行使の目的で、在留カード・・・を偽造・・・すること」と書かれており、刑に処せられたことは要件ではありません。
一方で、一定の刑法の罪を犯した場合も退去強制事由となりますが、その場合は「・・・懲役又は禁錮に処せられた」(入管法24条4号の2)ことが要件とされています。「処せられた」ことが要件の場合、刑事事件について判決の確定を待たなければ、退去強制手続を始めることができません。
このような判決確定の要否の要件は、保釈によって釈放された場合や、全部執行猶予判決を受けた場合において、特に問題となります。
判決確定が必要な場合は、保釈や全部執行猶予判決によって釈放された場合、少なくとも判決確定までは退去強制手続は始まりませんから、身辺整理のための猶予ができます。
一方で、判決確定が不要な場合には、全部執行猶予判決によって刑事手続上は釈放されたとしても、すぐに入管に拘束されて収容されることが多々あります。また、保釈が認められて釈放されても、すぐに入管に拘束されて収容されることもあります。
特に、保釈のケースでは、高額な保釈保証金を支払ったにもかかわらず、すぐに入管に収容される可能性があるリスクを事前に説明しておかなければ、被疑者との信頼関係に重大な影響が出るおそれがあります。保釈の問題については、後ほど改めて詳しく取り上げます。
(3) 全部執行猶予判決でも退去強制事由になりうるか
前述したとおり、刑事事件で有罪判決を受けた場合でも、全部執行猶予判決の言渡しを受けた場合や、一部執行猶予判決の言渡しを受けた場合には、適用される罪によって、退去強制事由になる場合とならない場合があります。問題になっている事件がいずれに該当するかを事前に確認して、初回接見時にきちんと説明することが、その後の被疑者との信頼関係の観点から重要です。
3 初回接見で持参する資料等の準備
まず、被疑者ノートについては、外国語版も日弁連から公開されていますので、被疑者の使用言語のものがある場合には、差入れ資料として持参すべきです。
また、被疑者から退去強制処分等の在留資格に関する質問を受ける可能性が高いので、入管法の条文が掲載された最新の六法や、入管制度に関する説明が掲載された資料を持参すべきです。
家族等からの依頼による私選刑事弁護の場合、初回接見時に、本の差入れをお願いされる可能性もあります。地域による運用の違いはあるかもしれませんが、少なくとも神戸の運用では、書込み等のない本であれば、翻訳文を添付しなくても差し入れることができます。他人に本を渡す際にメッセージを書き込む文化のある国もあるようですので、本の差入れを依頼された際には、書込みがないものでなければ差入れができないことをきちんと説明すべきです。
第2章 初回接見の対応
1 初回接見にかかる時間
外国人事件の場合、初回接見にかなり時間を要することがありますので、そのことを想定して、通訳人と余裕を持ったスケジュール調整を行っておくべきです。そもそも、通訳人を介したやりとりは、弁護人→通訳人→被疑者/被疑者→通訳人→弁護人と、常に通訳人を介するわけですから、同じ会話であっても、単純に考えて、通常の2倍の時間を要します。しかも、外国人事件の場合、初回接見において説明しなければならないことや、聴き取らなければならないことが多く、その結果、日本人の被疑者に対する初回接見と比較して、格段に時間を要することになります。
2 留学先に関することの聴き取り
外国人留学生の場合、留学先に関する情報が、弁護活動において重要になります。
留学生が留学先で籍を失ってしまい、他の留学先でも受け入れてもらえない状況が続くと、在留資格を取り消されるおそれがあります(入管法22条の4第6号)。
刑事事件による拘束期間が長期化すれば、進級に必要な出席要件を満たさず、退学扱いとなってしまうおそれがありますので、そのような可能性について、被疑者から詳細に聴き取りを行うべきです。
また、被疑者の承諾があることが前提ですが、少なくとも事件が長期化する可能性が高いケースでは、留学先の学校に早めに連絡をとって、できれば学校長らとの面会の機会をもったほうがよいと思われます。
第1に、刑事事件による拘束期間が長期化した場合、留学先への連絡をしていなければ、長期の無断欠席の扱いを受けてしまい、その後の進級等に大きな影響が出るおそれがあります。弁護人が学校側と交渉を行い、できる限り寛大な取扱いを検討していただくようにお願いすることで、このようなリスクを回避できる可能性があります。
第2に、外国人留学生の場合、国内に家族や親族がだれもいないことが多く、留学先にしか身元引受けを依頼できないケースはよくあります。また、留学先は、もともと留学生を指導する立場にありますから、身元引受人として信頼を置くことができます。ですから、将来的に身元引受人を依頼する可能性も見据えて、留学先との信頼関係を確保しておくことは重要です。
3 日本における黙秘権や供述調書の取扱いについての説明
黙秘権や供述調書の取扱いについて初回接見時に説明しなければならないことは、日本人の被疑者の場合でも共通ではありますが、外国人の被疑者の場合は、特に詳細な説明が必要です。
まず、黙秘権は、日本では「当たり前の」権利ですが、外国には、そもそも黙秘権という制度自体が存在しない国や、制度上存在はしていても、実態としては十分に保障されていない国があります。ですから、「黙秘権とは何か」について、十分な説明が必要です。
また、供述調書の日本での取扱いについても、十分な説明が必要です。供述調書は、被疑者の供述内容を取調官が文章にまとめて被疑者に確認を求め、訂正すべき点がなければ末尾に署名指印させるという流れで作成されます。ただ、このような日本流の調書の作成方法は、多くの外国人にとって理解しづらいものであると思われます。特に、(1)たとえ取調官が内容を考えた調書であっても、署名押印すれば、裁判で自分の供述と同じような扱いを受けてしまう点、(2)署名押印は拒否することもできるし、調書の内容は自由に訂正等を求めることができる点は、供述調書について外国人の被疑者が誤解しやすい点ですので、詳細に説明しておかなければなりません。
4 取調べ状況についての聴き取り
取調べ状況についての聴き取りにも、十分な配慮が必要です。
まず、弁護人が確認すべきことは、「取調官ときちんとコミュニケーションをとれているか」です。通訳人を介した取調べの場合、通訳レベルによっては、取調官とのコミュニケーションをうまく図れていないことがあります。弁護人としては、取調官とのコミュニケーションが十分に図れない場合には、絶対に供述調書に署名押印をしないように、念押しをしておく必要があります。
日本人の被疑者の場合、供述調書に署名押印をする前に、その内容に目を通すことができますから、供述調書の内容が事実と異なる場合には、訂正を求めることが容易です。
しかし、外国人の被疑者の場合、状況は大きく変わります。多くの事件では、供述調書は日本語のみで作成され、訳文は作成されません。供述調書の内容を通訳人が訳して読み上げた後、取調官から、「内容に違うところがなければサインするように」求められます。そのため、通訳人の通訳レベルに問題がある場合、たとえ供述調書に虚偽の内容が記載されていても、被疑者がそのことに気づかないおそれがあります。ですから、「取調官とのコミュニケーションが十分に図れない場合には供述調書に署名押印をしないように」というアドバイスは、とても重要です。
また、被疑者から「取調べで言われていることがよく分からない」という話があった場合には、(1)捜査機関に改善を求める申入れや可視化申入れを行う対応や、(2)弁護人が被疑者の供述内容を聴き取って調書化しておく対応をすべきです。調書は、できれば通訳人の協力のもと、被疑者の使用言語で作成したうえで、被疑者に内容を読んでもらってから署名指印してもらうことが望ましいです。署名指印については、指印証明をもらっておけば、証拠として後々に使いやすくなります。
5 文化や宗教の違いに対する配慮
外国人事件においては、日本と被疑者の母国との文化や宗教の違いに対する配慮も重要です。食事や礼拝の問題等、文化や宗教の違いによって困っていることはないか、初回接見時に確認をすべきです。
また、文化や宗教の違いによる問題は、弁護人1人で悩むのではなく、通訳人に相談するのも有効です。その国特有の問題であれば、通訳人が過去の経験や知識から対処方法を把握している可能性が大いにありますので、積極的に相談すべきです。
そのうえで、留置場や拘置所の取扱いに問題がある場合には、申入れによって積極的に改善を求めるべきです。
6 入国警備官による違反調査についての説明
退去強制事由について刑事事件での判決の確定が要件となっていない場合は、刑事事件が進行している間に、退去強制手続のための入国警備官による違反調査も並行して進められることがあります。特に、否認事件の場合は、入国警備官の取調べについても、事実関係を正確に伝えるように、注意を促しておくことが望ましいです。
7 まとめ
このように、外国人留学生の事件においては、初回接見での説明や聴き取りがとても重要な意味を持ちます。弁護人としては、初回接見での対応が、その後の事件の帰趨や被疑者との信頼関係に大きく影響しうることを意識して、丁寧かつ慎重な対応をする必要があります。
第3章 初回接見後の対応
1 家族への連絡
初回接見後には、なるべく早期に、母国の家族への連絡を試みることが望ましいです。もっとも、国際電話や手紙でのやりとりには費用がかかることから、被疑者と相談して、スカイプやFacebookのメッセンジャー等で連絡をとることができないか、連絡に協力してくれる親族が日本国内にいないかを、確認しておくと、スムーズです。
家族と連絡が取れた場合には、状況を詳細に伝えるほか、弁護活動に必要な資料を用意してもらうようにお願いすると、その後の弁護活動に有効です。
被疑者の母国にいる家族が日本に来て情状証人になることは難しいため、家族の陳述書を取り寄せておくと有効です。陳述書については、検察官が不同意とする可能性も想定して、信用性を担保しておく必要があります。国によって制度は異なりますが、母国の公証役場で宣誓供述書を作成してもらうと、信用性が担保され、検察官が不同意意見を出しても特に信用すべき情況で作成された書面として証拠能力が認められる可能性が高くなりますし、そもそも、検察官が同意しやすくなります。
宣誓供述書は、すぐに作成することができない可能性がありますので、早めに、できれば、初めて家族と連絡を取った際に、依頼しておく必要があります。
また、国によって制度は異なりますが、家族が代理して犯罪経歴がないことの証明書を取得することができる場合には、用意をお願いすることで、起訴後に前科前歴がないことの立証に利用することができます。
母国の法制度について確認したい場合には、家族に相談するほか、その国の領事館や大使館等に問い合わせる方法があります。
また、起訴される可能性がある場合には、保釈制度について説明して、保釈保証金の用意が可能かどうかもあらかじめ確認しておくべきです。特に、日本と物価の差が大きい国の場合、保釈保証金の工面に期間を要する可能性がありますから、早期に伝えておくことが重要です。
2 教材の差入れ
事件が長期化する可能性がある場合、その間に留学先での勉強ができないことで、釈放後に勉強について行けなくなり、留学先で単位を落としてしまうようなケースがあります。
そのような事態を避けるために、本人に必要な教材についての希望を確認して、可能であれば差入れをしておくことが望ましいです。留学先の学校から協力を得られそうであれば、学校にお願いして、教材を用意していただく方法もあります。学校に教材の用意を求めることで、被疑者の学習意欲が学校にも伝わり、学校との信頼関係にもつながります。
3 積極的な接見
外国人の被疑者の場合、留置場や拘置所で職員とのコミュニケーションが図れず、日常生活に不自由していることが多々あります。通訳人との日程調整の問題もありますが、弁護人が積極的に接見を行って、日頃困っていることを聴き取るようにすることが重要です。
第4章 起訴後の対応
1 保釈
保釈請求の手続自体に日本人との違いはありませんが、在留資格との関係で留意すべき点があります。
まず、被告人がオーバーステイの状態であれば、保釈請求をしても許可される可能性は低いです。また、仮に保釈が許可されて釈放されても、すぐに入管に収容されてしまうのが通常です。保釈請求に当たっては、常に在留資格について意識しておく必要があります。
保釈によって釈放されてもすぐに入管に収容されてしまう可能性は、もともとオーバーステイではなかった被告人の場合もあり得ます。それは、犯した罪が判決の確定がなくても退去強制事由に該当するケースです。
保釈請求を行う場合は、(該当する罪の場合には)釈放後すぐに入管に収容される可能性があることをきちんと説明しておく必要があります。
もっとも、犯した罪が判決の確定がなくても退去強制事由に該当する場合であっても、保釈によって釈放された後、入管に収容されずに元の生活に戻ることができるケースもあります。ですから、保釈請求に意味がないということではありません。
また、入管に収容されてしまった場合でも、仮放免という入管法上の制度によって釈放されれば、元の生活に戻ることができます。なお、仮放免にも保証金が求められますので、保証金の工面を家族等にお願いする場合には、保釈と仮放免の保証金が必要になった場合は総額が高額になりうることを説明しておく必要があります。また、弁護人の活動としては、仮放免の保証金について、二重の負担を考慮して低廉に設定するように求めることが必要です。
2 公判
公判において特に意識しなければならないのは、法廷通訳人の正確性です。
司法通訳人の通訳の正確性は、弁護人、検察官、裁判官のいずれもその場で検証することが困難ですので、誤訳があるにもかかわらず、放置されて公判が進行してしまうケースがあります。
このような事態を防ぐために、担当通訳人に、公判期日の傍聴を依頼して、法廷通訳人の通訳の正確性を検証してもらうことが望ましいです。そして、法廷通訳人の通訳の正確性に問題がある場合には、裁判所に速やかにそのことを伝えて、対応を求めるべきです。必要であれば、証人尋問や被告人質問の際に裁判所が録音したデータの開示を求めて、担当通訳人に依頼して検証を行うことも考えられます。
また、法廷通訳人の誤訳を避けるために、事件の争点や弁護人の主張に関する資料を事前に法廷通訳人に送付しておく対応も重要です。法廷通訳人は、建前上は「逐語訳」をすることが求められていますが、実際のところ、発言者の趣旨・意図を意識した「意訳」も交えなければ、分かりやすい通訳は困難です。事前に、事件の争点や弁護人の主張を整理した資料を法廷通訳人に交付しておくことで、法廷通訳人が公判中に発言者の趣旨・意図を意識しやすくなり、誤訳の防止につながります。事件の内容が単純な場合や、争点が少ない場合には、弁論要旨等をそのまま送付すれば足りるかもしれませんが、少なくとも複雑な事件や争点の多い事件の場合は、法廷通訳人が一読して事件の全体像を把握できるような分かりやすい資料を別に用意しておくほうが、望ましい対応といえます。
また、外国人の証人に対する尋問や被告人質問においては、質問者も質問の仕方を工夫しなければなりません。それは、質問の中で、いつ・どの場面のことを質問しているかを明示することです。場面設定が明確になると、法廷通訳人は質問の趣旨・意図を把握しやすくなり、誤訳を防ぐことができます。仮に、相手方がこのような配慮を欠いた質問をしている場合には、質問を止めて、場面設定を明らかにしながら質問をするように促すべきです。
外国人留学生は、日本語をほとんど理解できない方も多いため、公判という人生を左右する場で法廷通訳人の通訳が理解できなければ、強い不安を覚えてしまいます。そして、このような不安は、事件の帰趨にも影響してしまいます。被告人との信頼関係を維持し、また、事件をうまく進めていくうえでは、弁護人が法廷通訳の正確性についてきちんと意識しておくことが重要です。