弁護士法人 みお綜合法律事務所神戸支店
2024.03.25
終活のサポート

遺言書作成で失敗しないためのコツを弁護士が解説

弁護士 石田 優一

弁護士 是永 淳志

1.遺言書は「遺されたご親族の幸せ」を守るもの

(1) だれもが人生に一度は悩むこと

だれもが人生に一度は、「遺言書は作ったほうがよいかな?」と考えるときがあります。遺言書は、長い人生で培った貴重な資産を、ご自身の遺志のとおりに後世へと受け継ぐために、大切なものです。

(2) 遺言書さえあれば・・・

遺言書がなければ、遺されたご遺族の方が、「どうやって遺産を分割すればよいか?」をめぐってもめてしまうことがあります。私が過去にお受けした遺産相続事件でも、「もし遺言書があれば、こんなにご遺族が争うことなく、きっと円満に暮らしていらっしゃったのに・・・」と、心が痛くなるケースが多々ありました。

特に、お子様が複数人いらっしゃるケース、(お子様がいらっしゃらない方で)ごきょうだいが複数人いらっしゃるケースでは、遺産分割をめぐる紛争が起きるケースが多くあります。これまで仲のよかったご親族が、遺産をめぐって泥沼の関係になることは、珍しくありません。

(3) 遺されたご親族の幸せのために

遺言書は、「遺されたご親族の幸せ」を守るために大切なものです。遺言書は、一度作成したものを、何度でも書き換えることができます。ただし、認知症が進んでしまうと、遺言書の作成ができなくなってしまいます。

ですから、遺言書の作成は、ご年齢を問わず、お早めにご検討いただくことをおすすめしております。

2.要注意!遺言書をご自身で作成する際にミスしがちなこと

遺言書をご自身で作成することを、自筆証書遺言といいます。遺言書は、弁護士などの専門家へのご相談なく、ご自身で作成することもできます。ただ、そのような場合、遺言書に"不備があった"として、ご自身が亡くなった後にトラブルになってしまうケースが少なくありません。

遺言書の"不備"がなぜ問題になるかといえば、それは、民法で、遺言書の作成に関するルールが厳格に定められているからです。遺言書の内容が問題になるときは、すでにご本人は亡くなっていますので、その意思を確認することができません。そのため、遺言書の作成に不備があれば、原則として、その遺言書は無効になるようなルールになっています。

いくつか、遺言書作成のミスが問題になる例をご紹介します。

【事例】

Aさん(70歳・男性)は、妻Bさん(75歳)と2人暮らしで、子どもはいません。Aさんには、兄Cさん(73歳)と、妹Dさん(67歳)がいます。Aさんは、1年前から病気療養中で、万が一のことを考えて、「Bさんにすべての遺産を相続させる」ことを書いた遺言書を作成しました。その後、Aさんは、亡くなりました。

(1) 押印がない!

遺言書には、Aさんの署名はありましたが、押印がありませんでした。

最近、「ハンコ廃止」の流れを受けて、重要な書類に押印をする習慣が減ってきています。ただ、遺言書については、「印を押さなければならない」(民法968条)と法律で決まっていますので、押印を省略することができません。

もし、押印が欠けていると、遺言書が無効になってしまう可能性が高いですので、十分に注意が必要です。

(2) 手で書くのが大変なのでパソコンで・・・

病気のせいで手が震えてしまうので、遺言書は、パソコン打ちで作成しました。

最近、民法が改正されて、財産目録については、パソコンで作成することが認められるようになりました(民法968条2項)。ただ、この法改正について、「遺言書はパソコンで作れるようになった!」と誤解されている方が少なくありません。

あくまでも、パソコンで作成することができるのは、財産目録(相続財産の目録)"だけ"です。それ以外のものは、すべて手書きしなければなりませんし、代筆も認められません。

※なお、パソコンで作成した財産目録には、1枚1枚(両面書きであれば両面ともに)、署名をして、押印もしなければなりませんので、この点も注意しなければなりません。

パソコンでの作成が一部解禁されたものの、「これはパソコンで作成してよい?」「押印はこのページにいる?」など、判断に迷うことが少しでもあれば、弁護士にご相談されることをおすすめします。

(3) 日付を書き忘れた・・・

Aさんは、ついうっかり、遺言書に作成日付を書くのを忘れてしまいました。

作成日付が特定できない遺言書は無効です。日付の記載が全くない場合はもちろんのこと、「令和6年3月」のように、作成月は特定できるものの、日が特定できないような場合も無効になります。

(4) 妻が先に亡くなってしまった・・・

このケースは、遺言書の形式に不備がある場合とは少し異なりますが、このようなミスもよくあります。

Aさん(ご本人)とDさん(妹)は、以前からCさん(兄)から嫌がらせを受けていました。そのため、Aさんとしては、Cさんには自分の遺産を渡したくないと考えていました。

Aさんは、遺言書を作成した3年後に、認知症になり、遺言書を書き換えることが難しい状況になりました。その2年後、Bさんが、(Aさんが亡くなる前に)病気で急逝しました。

このケースでは、Aさんが亡くなった時点でBさんがすでに亡くなっていますので、「Bさんにすべての遺産を相続させる」という遺言書の記載は、意味のないものになります。そして、CさんとDさんとが、Aさんの相続財産について遺産分割協議をしなければならない状況になります。

ところが、CさんとDさんは不仲な状況ですので、泥沼の紛争が起きた末、「Cさんには自分の遺産を渡したくない」というAさんの思いに反して、Cさんも遺産を手にすることになります。

このようなことを防ぐためには、「もしBさんがAさんよりも先に亡くなった場合には、Dさんにすべての遺産を相続させる」ことを、遺言書に明記しておかなければなりません。

きょうだいに遺留分は認められませんので、このような遺言書を作成しておけば、Cさんが遺産を手にする状況を防ぐことができます。

遺言書を作成するときには、「もしこの人が亡くなったらどうするか?」もよく考えておかなければなりません。

3.遺言書作成でミスをしないために

遺言書作成でミスをしないために、次のいずれかの方法をおすすめします。

(1) 弁護士に文案作成を依頼する

法律的な知識がなければ、ミスのない遺言書を確実に作成することはハードルがあります。先ほどご説明をしたように、遺言書の作成には様々なルールがあるためです。先ほど取り上げた問題以外にも、「遺留分の侵害はないか?」「遺言の執行はうまく進められるのか?」など、考えるべきポイントは様々あります。

弁護士に文案作成を依頼すれば、このような不安を解消することができます。

また、新しくできた「遺言書保管制度」(法務局に遺言書を保管することができる制度)についても、弁護士からご案内を差し上げることができます。

(2) 公証役場で遺言公正証書を作成する

遺言書は、必ずしも自分で作成しなければならないわけではありません。公証人に依頼して、遺言公正証書を作成する方法があります。

遺言公正証書の作成費用は、相続人(あるいは受遺者)の数や、相続財産の額などで変わりますが、5万円~10万円くらいになるケースが多いと思います。

遺言公正証書の場合、専門家である公証人に作成を委ねられますので、形式不備が問題になることはありません。

また、遺言公正証書は、原本が公証役場に保管されますので、遺言書のように「紛失してしまった!」「だれかに捨てられた!」「改ざんされた!」といったことが起きる心配がありません。

(なお、紛失の問題は、「遺言書保管制度」の利用によっても防げるようになりました。)

4.遺言書作成のことは弁護士にご相談を!

遺言書作成については、弁護士への相談をおすすめします。なぜなら、弁護士にあらかじめご相談をいただくと、次のようなメリットがあるからです。

(1) あなたの思いを「一番よい形」にできるから

このコラムでご説明したように、ご自身で遺言書を作成すると、ちょっとしたミスによって、すべてが無効になってしまうことがあります。「遺されたご親族の幸せ」のために作成した遺言書が、ご自身が亡くなった後、「有効か?」「無効か?」をめぐって泥沼の紛争を巻き起こすことになれば、これほど悔やまれることはありません。

また、たとえ遺言公正証書を作成する場合であっても、弁護士にあらかじめ文案作成を依頼されることをおすすめします。公証人に、あなたの思いをそのまま文章化していただくことはできますが、"あなたの本当の思いを叶えるためにどうすればよいか"までは教えていただけません。

例えば、次のようなことは、公証人にアドバイスを求めることはできません。

(1) これまでの親族関係を考えて、だれにそのような遺産を残すべきか?

(2) 遺産の一部を団体に寄付したいが、どの団体に、どのような形で寄付すればよいか?

(3) 遺言と民事信託をうまく活用したいが、どのようなスキームが自分に合っているのか?

弁護士にご相談をいただければ、あなたの「終活アドバイザー」兼「相続のプロフェッショナル」として、"あなたの本当の思いを叶えるために一番よい形"をお伝えすることができます。

(2) 遺留分をめぐる紛争が起きるリスクを知ることができる

たとえ遺言書を作成しても、きょうだい以外の相続人から、遺留分を主張されることがあります。遺留分とは、簡単にいえば、「遺言によっても奪うことができない、相続人に認められた取り分」のことです。

遺留分の主張を受けるおそれがあるかどうかは、専門家でなければ明確な判断が難しいケースがあり(例えば、生前に財産のやりとりがあったようなケース)、一般の方では確実な判断ができないことが多いです。

また、たとえ公証人に遺言公正証書を委ねる場合であっても、(最低限のアドバイスを受けられることはありますが)遺留分をめぐる紛争が起きるリスクを公証人から詳細にアドバイスいただくことは難しいです。

弁護士にご相談をいただくことで、このような遺留分に関するアドバイスを受けることができ、より安心して遺言書を作成することができます。

また、遺留分をめぐる紛争が起きるリスクがある場合には、そのリスクを下げるためにどうすればよいか、弁護士の意見を求めることもできます。

(3) 遺言公正証書の証人を確保することができる

公証人に遺言公正証書の作成を委ねる場合には、2人以上の証人が立ち会う必要があります。相続人やその配偶者、直系血族など、近親者の場合は証人になれないことが多い(民法974条)ため、証人2人を確保するのに苦労されるケースは珍しくありません。

弁護士にご相談いただけば、証人を弁護士(あるいは事務所スタッフ)から確保いたしますので、このようなご心配はありません。

5.遺言のことは「みお神戸」にご相談ください!

遺言のことは、お気軽に「みお神戸」にご相談ください。遺言の作成に関するご相談は無料です。

安心の終活は、私たち「みお神戸」の弁護士にお任せください!

-詳しくはこちら-

このコラムを書いた人

弁護士石田優一
兵庫県弁護士会所属 68期 登録番号53402
みお神戸支店長、パートナー弁護士。社会保険労務士、登録情報セキュリティスペシャリストの資格を持ち、くらしの身近な相談から、企業法務、IT法務、ベンチャー支援まで、幅広く注力する。弁護士として神戸・兵庫に貢献できることを日々探求している。

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